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「遅くなってごめん!!」
「別にいい……、って、浴衣!」
カランカランと慣れない音を響かせて駆け寄ると、スマホに向けていた視線を上げた水原は驚いたように目を見開いた。
あまりに率直に言葉にされて、私も驚いてしまう。
「えっ、うん。……変かな!?」
久しぶりに紐解いた白地に朝顔が描かれた浴衣は、お母さんに超特急で着付けてもらった。
あまりに時間がなかったせいで鏡でちゃんと自分の姿を確かめる余裕もなかったから、不安になる。
髪だって急いでまとめた上ここまで走ってきたから、崩れてるかもしれない。
何気なく頭に手をやって、取り敢えずほどけそうなほど崩れてはいないことを指で感じ、ほっと息を吐いた。
「……や、変じゃない」
「その間は何?」
「何言ってんだよ、間なんてなかったって」
「あったよー!!」


