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「はああ、怖かった!」
「最初の方で悲鳴上がったの、あれ結局何だったんだろうな」
ゴール地点で待っていたクラス委員に音楽室から持って帰ってきたサングラスを渡しながらそう言うと、受け取ったクラス委員が首をかしげた。
「なーんだ。ふたりとも、怖い怖い言いながら、怖いの平気なんじゃない。一回だけお化け登場したでしょ?たぶんそのときの悲鳴だったんだと思うけど。ふたりは全然へっちゃらだったのね」
うふふと笑いながら、次のペアの方に向かっていってしまったクラス委員。
私と水原は、言われたことを理解できずに呆然としていた。
「……え、おばけ?」
「いたか?そんなの」
ふたりで顔を見合わせていると、違うペアのところに行きかけていたクラス委員がくるりと振り返り、クスッと笑う。
「ていうか、もう。教えてくれたらよかったのに。ふたりともそういう関係だったなんて」
「「はい?」」
もう、誤魔化したってバレバレ!と笑うクラス委員は、「そ・れ!」と私と水原の間を指して笑った。
反射的に、指さされた方を見る私と水原。
……あ!!
手、つないだままだった!


