「ちょ、え!?」
「怖いんだよ!分かってんだろ!これくらい許せって」
「ええええ!?」
1回目、ってもしかして、さっき階段から落ちそうになった私を助けるために手をつかんだことを言ってたの!?
「……し、仕方ないなぁ。水原がまさかこんなに怖がりだったとは知らなかった」
どうしよう。
嬉しすぎて、私の方は怖さなんてほとんど吹き飛んじゃったよ。
「おまえだって相当怖がりだろ」
「水原ほどじゃないよ!」
「いや……、まぁ、ホラー映画とか無理だけどさ」
もごもごと言った水原。
もう。
男らしい人が好きだったはずなのに、水原だったらこういう少し頼りないところだって好きだと思ってしまう。
触れあう掌が、すごく熱い。
「……さっきの本当に冷や汗かいたんだぞ」
「え?」
水原の言葉は、小さな声すぎてよく聞こえなかった。
「……たしかに、お化け屋敷もホラー映画も怖いけど。
そんなことより、もしお前になにかあったら、って考える方がよっぽど怖いわ」
ぽつり。
水原が息に近いくらい微かな声で呟いた言葉は、手をつないだだけでいっぱいいっぱいになっていた私には聞こえていなかった。


