「う、わああっ!?」
「おいっ!?」
どうしてこんなに近い場所から声がするの!?
と理解できずに、身体を捩(よじ)ると、後ろから焦ったような水原の声が聞こえた。
一段階段を踏み外して、なんとか体勢は整えたばかりだというのにまたもや不安定に身体が揺れ、危なく再び階段を落ちそうになってしまう。
「きゃっ!」
パシッ、という軽やかな音が響いて、手を掴まれたのだと気付く。
傾いていた身体が、地面から浮いていた片足が、ようやくあるべき場所に戻る。
「はー、あっぶねぇなぁ。三浦、ちょっと落ち付けって」
大きく安堵の息を吐いた水原に、グッと手首を掴む手に力を入れられて、ぎゅんっと心臓が勢いよく跳ねた。
いやいやいや!
ここはときめくとこじゃないよ、私っ!
そう自分を落ち着かせようとしても、触れられている場所にもうひとつ心臓があるんじゃないかってくらいドキドキする。


