「ふにゃぁ……」

少女は寝ぼけながらも制服に着替えた。
まだ眠いらしく、時々首がカックンとなったりする。 その姿もまた可愛らしくて羨ましい。髪もところどころ跳ねているところも。
着替え終わり、ベットを見つめる。
ふかふかで暖かそうなベッド…
恨めしそうに羨ましそうに。
眠い
寝たい
寝てもいいかなぁ

そしてまたベットのなかに入ろうとした。
その時

「今日、高校の入学式よ~!二度寝しようとしないで下に降りて来なさぁ~い」

と、声が聞こえた。
この声は……おかあさんだ。
なんとも少女のことを分かってる。
エスパーなの?って昔少女が聞いたぐらいに当たる。
すぐに少女は起きた。そして素早く残りの準備を終わらせて部屋から出ていった。ここまで来たら分かる人も何人かいるだろうが、少女はいわゆるマザコンなのだ。
まだ、眠いらしく目をこすりながらもゆっくりと階段を降りて来た。

「おはよ………おかあさん」

まだ料理をしているらしく、少女に背中を向けているおかあさんにあいさつする。すると、おかあさんは嬉しそうにこっちをみる。少女はおかあさんのその表情が大好きなのだ。だから、毎日必ずあいさつをする。

「おはよう。愛〈マナ〉」

おかあさんは笑顔でいう。それを少女…愛は嬉しそうに見つめる。
その姿はまるで天使にみえる。

「あ、そうそう。今日から1、2週間パリに出張なんだけど……大丈夫?」

おかあさんは本当に心配そうに眉を下げて愛に聞く。
おかあさんも、また過保護の親バカなのだ。