どうしたら話せるのだろうか・・・・・・と考えながら、教室の扉を背もたれにし、その場にしゃがみ込む。


難しくても、いいんだ。

マンガの様に、次々と壁が出てくる恋愛がしたいから。

そんな恋愛をすることが、俺が結衣奈(Yuina)に出来る唯一の償いだから。


しゃがみ込んで考えていたら、上から女子の声が聞こえた。
初めて聞く声。

「ちょっと、朝倉」

急に名前を呼ばれ、驚いて上を向く。

「・・・・・・え?」


するとそこにあった顔は、彼女と楽しそうに喋っていたポニーテールの女子。


ポニーテールの女子は腕を組むと、ちらっと教室を見て、俺に向き直った。

そして、静かに唐突な質問をする。


「朝倉さ、凛のこと好き?」

「は?!」

凛って・・・・・・彼女のことだよな、きっと。

気付かれてたんだ。この女子にも。


っていうか、いきなり何てことを聞きやがるんだ!初対面だぞ。

・・・・・初対面・・・・・・なのに、何でこの女子、俺の名前を知っているんだ?