人と人でいっぱいの廊下を弾んだ足どりで歩く。

時折、どんな人がいるのかとあちらこちらを見渡す少年。


黒い短髪の髪に、少し細めの瞳。

一人だけ、頭が飛び出て見えるから、遠くからでも見つけやすい。

キチンとオシャレな制服を着こなしている。


少年は男女構わず、廊下にいる人達に声をかけ、自己紹介をしていた。

「よぉ、始めまして!B組の朝倉 圭太(Asakura Keita)だ!よろしくな」


これだけ言って手を振り、再び廊下を歩き出す。

当然、声をかけられた人は皆呆然。
中には、「お、おう」「う、うん」など返事をしている人もいたが、それも数名。


少年は満足そうな顔をし、より弾んだ足どりで歩き出す。



ーーーーーーーーーー俺、朝倉圭太は、ついこの間この学校、私立聖桜学園に入学した。
つまり、高校生デビューしたてというわけだ。


俺がこの、三年間に望むもの。

それは、友達とワイワイした楽しい高校生活。


恋人になるまでに大変な道のりのある、恋愛。


この二つだ。