傾城は時の氏神

枡「ここやー!」




雅「ありがとうございます。」




桝屋があるのはあまり人の出入りのない




奥まった路地だった。




雅「あまり人通りがないんですね。」




桝「そうやな。でも贔屓にしてくださる方も多いから商売は繁盛してるで。」




雅「へぇ....」




雅は店の中を見回すが




明るいとは言えない空気が漂っていた。




桝「せやけど初めてのお客さんやな。誰かの紹介かなんか?」




雅「まぁそうですね。」




桝「それやったら肥後か長州の方?」




探していた名前を聞いて目を見張る。




雅「あぁ....まぁ....」




桝「そんお方の名前を聞いてもかまへんか?」




明らかに怪しんでいる桝屋に




雅は笑うと話し始める。




雅「恥ずかしくて私の口からは...」




桝「口は固い方やから‼︎」




まるで照れたように俯くと桝屋を見た。




雅「ある理由から長州の桂さんに良くしていただいて....」




桝「桂はんやて⁉︎」




雅「ご存知でしたか?」




桝「当たり前や!偉いお方やもんなぁ!」




雅は内心笑うと話を続けた。




雅「ここだけの話ですが桂さんや高杉さんには可愛がって頂いてるんですよ。」




桝「そらまたえらいこっちゃ!」




桝屋は慌てたようにお茶を出す。




桝「おもてなしもせんと、すんまへんな!かんにん!」




雅「おきになさらず!」