雅「正直....思想なんてどうでも良かったんだよ。金さえ貰えれば早くに年季が明ける。自由の身になりたかった。だから桂さんの紹介で忍びの訓練を受けて働いていたんだ。」




総「じゃあ攘夷派じゃないんですか?」




雅「難しい話は分からない。ただ言われるままに....動いて来たから。今となっては桂さんに思いを寄せていたのも幻だったと思っている。彼がいなければ島原から解放されないと思い込んでいたから縋っていたんだろうな...」




総「そうですか...」




雅「だから新選組になぜ付いたと言われても....冷静に考えるとよく分からない。ただ...仕事を貰えればそれでいいんだ。どうせ遊女なんて廓を出ても色目で見られてまともに雇っては貰えないからな。」




総「....」




雅「最後は犬や猫みたいに死んで行くんだ。そういう奴を何人も見てきた。」




そこまで話すと雅は総司を見る。




雅「なんて顔してんだよ」




微笑むと総司の頭に触れた。




総「私たちと似てますね。」




雅「え?」




総「私も養子に出されましたから。近藤さんや土方さんは百姓出身ですし。他の方も他じゃ行き場所無かったり、剣しか能が無かったり。仲間ですね‼︎雅も。」




雅「仲間....」




総「違うんですか?」




雅「ありがとう。」




総「え?」




雅「なんでもない‼︎」




雅は総司から小刀を取り返すと




再び磨き出した。