傾城は時の氏神

雅「分かった。話すよ。」




総「いいんですか⁉︎」




雅「気が変わった。」




総司を見て微笑む雅に




鼓動が早まるのを感じる。




雅「元々私は百姓の生まれなんだ...」




総「初めて知りました。」




雅「だろうな。で、母親は早くに死んだ。父親は博打に明け暮れて結局私を育てられなくて親戚に預けられたんだよ。」




総「.....」




雅「だけどその親戚も裕福じゃなくてな。六つだった私は奉公に出されたんだ。」




総「島原に?」




雅「いや。反物屋だ。」




総「そうなんですか。」




雅「でも結局六つの私にできることなんて殆ど無かった。だからそこの主人が私を島原に売ったんだ。」




総「そんなこと許されるんですか?」




顔をしかめた総司を手で制す。




雅「まぁ私なんて親がいないも同然だからな。ただ、顔だけは良かったらしい。運良く太夫の見習いとして雇われて身体は売らなくてすんだ。」




総「.....」




雅「女に生まれた事を心底恨んだ。いっそ男なら良かったと何度も願った。」




総司は黙って俯く。




雅「晴れて太夫となったとき、桂さんに会ったんだ。太夫なんて聞こえはいいが結局は遊女として買われた身だ。年季が明けるまでには普通の遊女より金が掛かる。そんな私を馴染みとして贔屓にしてくれたのが桂さんや長州だったんだよ。」




総「長州は金だけはあるから。」




雅「そんな時に桂さんから密偵の話が来たんだ。その代わりに金を渡すと。」




そこまで話すと雅は空を見上げる。