桂「差支えなければ相手を教えてはくれないかい?」



女「いくら桂はんでもそれは...」



桂「興味範囲だよ。」



女将はしばらく悩んだ後



口を開いた。



女「新撰組どす。」



桂「新撰組?知らないなぁ...」



女「ほら...あの壬生浪士組どす!名前が変わったらしゅうて今は新撰組いうらしい。」



桂「壬生浪士組!?」



思わず大声がででしまった桂は



声を潜めて周りをうかがう。



桂「で、相手は?」



女「副長の土方いう人や。土方歳三。」



桂「!?...何を考えてるんだ太夫は...」


考え込むと桂は女将を見る。



桂「宿はどこだい?」



女「それはいえしまへんわ!!」



桂「太夫が危険かもしれないだろう。」



女「それは大丈夫や。うまく宴席もこなしはって、みなさん機嫌よう帰って行かれましたわ。」



桂「.......」



女「せやから安心して今日は帰っとくれやす。」



桂「そうではない...」



女「なにか言わはりました?」



桂「いや...また来る。」



桂は踵を返すと



足早にその場を去った。