傾城は時の氏神

桂「約束...出来るかい?」



花「今やないとあかんのですか...」



桂「そうだね。私は今答えを欲しているのだから。もちろん、いまだよ。」



花「そんなん...」



一瞬目を合わすと見たこともないような



桂の表情が目に入った。



花「うちは....」



その態度を見て桂は微笑むと



そっと花君の帯に触れた。



桂「勿論...いい返事をくれるんだろう?」



花君は考える素振りを見せると



桂を見つめた。



花「ええ話やけど...お断りします。」



桂「なんだって?」



眉間にしわを寄せると



花君の襟元を掴んだ。



桂「願ってもない話だろう。」



怒る桂に躊躇するもゆっくりと話し出した。



花「うちは...太夫どす。どんなお座敷にも呼ばれたら行かなあきません。それが長州のお侍さんでも...壬生浪士組でも...もちろん薩摩でも。」



薩摩と聞いて一層眉間にしわを寄せた



桂は小さくため息をついた。



花「お約束はできしません。ええお話やと思います。せやけど...うちをそないに軽く見んといておくれやすな。お金で動くほど、落ちぶれてはおりんせん。」



桂「そうかい。」



きっぱりと言い放った花君に呆気に



とられるも表情を崩した。



桂「ははは!!すまなかったね。忘れてくれ。さすが天下の太夫だ。」



桂は体を起こすと刀を持ち立ち上がる。



桂「また来るよ。」



花「お待ちしとります...」



出ていく桂にお辞儀をしたまま



しばらく顔をあげられなかった。