花「あら。桂先生やないですか。」



花君はおどけてみせると



桂は苦笑いしながらお辞儀をした。



桂「太夫...頼むからその先生というのは勘弁してくれないかな。」



花「なんでですの?桂先生。」



尚もふざけている花君にため息をつくと



自分の横にくるよう手招きした。



花「今日はどないしはったんどすか?」



桂「うん。なんとなくだよ。」



花「あら珍し。高杉さん達はおへんの?」



桂「今日は私だけだよ。」



花「そうどすか。」



酌をしようと徳利に手を伸ばすが



寸でのところでそれは止められた。



花「桂さん...?」



桂「太夫...いや...雅...」



花君の手を取ると桂は



そっと手の甲に口付けた。



花「っ...桂さん...ほんに...今日は酔ってはるん?いつもと違う...」



花君は手を引こうとするも



逆に抱きすくめられてしまった。



花「何か...あったんどすか...?」



桂「何も...」



花「せやけど....んっ...」



言葉を紡ごうとした口は



桂の唇によって遮られた。