「よしっ!」
ふぅ。と一息ついて、校門に入る。
「すいませーーーーんっ!飛行機が遅れましたッ!」
「うわぁっ!誰だ?」
「転校生の久保田樹ですっ!」
うわぁ。男子ばっか。
そりゃそうか。ここ男子校だし。
「久保田は、一番後ろの有馬のとなりなぁ。」
「有馬?」
「俺ッ!有馬陸っ。よろしく。」
「久保田樹っ。よろしく。」
「樹。お前・・・かっわいい顔してんなぁ。」
「お、俺が!?ないない。」
うわぁ。あっぶねぇ。

あっ。自己紹介が遅れましたっ。
私、久保田樹(くぼた いつき)。ワケあって男子校にいます。
ワケとは。
私がフランスにいた頃からのあこがれの、古賀隼人がこの学校にいるから。
短距離走の選手なんだけど、すっごい早いしフォームがきれいなの。
しかも・・・同じクラスっ!!
そして・・・同じ部屋っ!
ここ、全寮制だから。
「古賀くん。よろしく。俺、久保田樹。」
「おう。」
は・話せた。
フランスからわざわざ日本まで来た甲斐があった。

「よし、有馬ー。学校と寮、案内してやれ。」
「ほーい。」
「頼んだぞ。各自寮に戻ってよし。」
「じゃ、行くか。」
「おうっ。」
今日から、あこがれの古賀隼人と同じクラスっ!同じ部屋っ!
ついてるなぁ。

「ここがお前らの部屋。203号室。ちなみに俺は隣の202だから。隼人に泣かされたらいつでも、俺のところに来いよ。」
「お、おう。」
有馬くんっておもしろいなぁ。
「ちなみに、俺のことは有馬でいいからな。樹っ。」
「おう。」
じゃな。って言って帰ってた。
「いつまで突っ立てんだよ。」
「うわぁっ。古賀くんか。」
「お前その、古賀くんやめろ。古賀くん。」
「古賀?」
「隼人でいい。」
「隼人。」
「よろしくな。樹。」
「おうっ。」
あこがれの古賀隼人を呼び捨てだなんて!!

コンコン
「おーい。古賀ー。転校生はどこ行った。」
「居ますよー。」
「はいっ、俺っす。」
「おぉ。俺、ここの寮長の辻瑞輝。よろしく。」
「久保田樹っす。」
「んー・・・・。」
寮長さん。イッケメン。
「お前、男にしとくのもったいないなぁ。」
「はぁぁ!?」
「まっ。うちの寮にも、お前みてーなかわいい奴いるけどな。」
あっぶねぇ、バレそうで怖いなぁ。
「じゃ。古賀と仲良くな。」
「はいっ。」

「おいっ。夕食くいっぱぐれっぞ。」
「隼人っ。ちょ。待って。」
「はやく。」
隼人に連れられて、食堂に来た。
人、人、人、人。
「俺、きつねどん。」
「俺もー。」
「はいよっ。」
うわぁ。いろんなメニューがある。
でも、今日はもうきつねうどん頼んじゃったから。
「いただきまぁす。」
「ちょいちょい、久保田。」
「あ?」
「フランスから来たんだろ?」
「おう。」
「帰国子女っ!!」
それからみんなの質問攻めにあい・・・。
「俺、そろそろ戻るわっ!ちょっと疲れた。」
「おう。じゃ、明日なぁ。」
「おう。」