薫の笑い声を聞きながら、混乱する頭でこれまでの展開を整理すると。
今まで理解できなかったいくつかの矛盾が、一気に理解できたような気がして、あっという間に私の体から力が抜けた。
ぐらり。
揺れた私の体をさらに強く抱き寄せた薫の胸に顔を預けながら、心を落ち着かせようと大きく息を吐いた。
とくとくと響く鼓動は普段より速いし戸惑う気持ちが綺麗に払拭されたわけではないけれど。
意外なほど私の心は緩やかに保たれている。
どちらかというとほっとしたような。
不安定だった足元がすっと支えられたようなそんな気持ちで目を閉じて呟いた。
「薫って……策士だったんだね」
薫の胸を軽く叩き、拗ねてみると。
「ん?今頃気づいたか?」
反省も何もしていない、あっけらかんとした声が返ってきた。

