そう言って近付いて来て
「よっ、また考え事かー?」
「るっせーよ、何でもいいだろ」
「んなこと言わずにさ~。な、樹~」
「拓海は相変わらずしつこいな」
「これが持ち味だからね!ははは」

柿澤拓海(かきざわたくみ)
こいつは93年生まれの18歳。
つまり、俺のひとつ下ってこと。
同じバイトの仲間で同期だ。
最近、免許取得したからって
親に金借りてマイカーまで買った
なんとも羨ましい野郎だ。
性格は天然混じりのしつこいヤツ。
几帳面で慎重な俺とは正反対。
だからこそお互い信頼出来るのかもな。

「まぁ、あれだ。今日で1年経ったな。」
「へ?何が?俺に彼女いないよ?」
「お前みたいなのには出来ねーよ!笑」
「ひどっ、答え教えろよ~」
「今日でバイト始めて1年だぜ?」
「あー、そーだ!そういえば!じゃあ…」
「じゃあ?」
「一杯飲みに行きますかぁ!」
「いいね…って俺ら未成年だろーが」
「お、やるね!ノリツッコミ!
今のレスポンスの良さは樹にしか
出せない最高の切り返しだな!」
「やめてくれ、恥ずかしくなるだろ…」
「え?なんで??なんでなんで??」
「うっせ」
「いや、まじで分かんないんだけど!」
「分からんで結構。帰るぞ」
「あ、待てって!今から着替えて…」

といった感じの毎日を過ごしていた。
俺は学生なので講義が終わると
40分間バスに揺られ、バイトに行く。
そんな生活を常に送っていた。