「な、泣くことないでしょ?!」


「えへへ・・・嬉しい。ありがとう、楓にぃに!」


涙は止めどなく溢れる。


綺麗なスイートピーが涙で滲む。


バカじゃん、あたし。


ひとりで楓にぃにのこと意識して。


にぃにはあたしのこと、妹以上に想うわけないのに・・・


あたしはただの妹なんだ。


「もう、泣くなって。」


楓にぃにがあたしを優しく包み込んだ。


久しぶりに感じたその温度は、間違いなく楓にぃにの温度で。


和泉くんとは違う香りがして。


和泉くんとは違う、包み込むような抱擁で。


楓にぃにはただのお兄ちゃんなんだ。


それでいい。


「・・・っひっく・・・」


そう強く思うほどに、涙が止まらない。


「ほら、せっかくのメイク崩れるよ?」


そうふざけて笑わそうとしてくれる楓にぃにの腕の中で、あたしは微かに夢を見た。


いつか、生まれ変わっても。


また、楓にぃにの妹として生きていきたい。


今度はきっと、ずっと一緒に過ごしたい。絶対に。