「パパ!パパ!!」


「んーなんだよ、朝から。」


「ふぅ、さみしい。パパ行っちゃうの?」


「ううっ・・・ごめんな、ふぅ。パパは行かなくちゃいけないんだ・・・。」


・・・でた。


毎朝、恒例の父娘のやりとり。


楓にぃにを見てて、バカパパって思ってたけど。


結局パパもこうなっちゃうものなんだね。


ふぅが可愛いのは分かるけど。


ふぅは泣きながら、パパの頬にキスした。


「ふぅ、パパ待ってる。いってらっしゃい。」


・・・わが娘ながら、策士。


「ふぅ、早く帰ってくるからな!」


パパは涙を流しながら、娘の策に溺れた。


・・・我が夫ながら、言葉が出てこない・・・。


「いってらっしゃーい・・・」


洗濯物を干しながら挨拶すると、パパがこっちへ来た。


「・・・なに?」


パパが真顔で寂しそうな顔をした。


「行ってらっしゃいのチューは?」


咄嗟に持っていたタオルで叩いた。


「それは新婚さん限定!ほら、遅れるよ!」


背中を優しく押すと、パパはあたしの頬にキスした。


「!!」


「行ってきます。」


ほくそ笑んで仕事へ行くパパの後ろ姿を見て、小さく呟く。


「・・・策士め・・・。」