昨日までは特に変わらない1日だった。
なのに・・・
「...おはようございますお嬢」
「ぇ?」
ドアが開くと同時に聞こえた少し低めの声。
"お嬢"
私専属のメイドは、私のことをお嬢などと呼ばない。
ちゃんと、"様"を付ける。
ましてや低い声なんて。
不思議に思い、ミルクティー色の髪を掻き上げながら扉の方へ目を配ると、見たことのない執事服を着た男。
「貴方は誰」
......
「朝は紅茶になさいます?
それとも、その貧相なお胸の成長の為に牛乳に致しますか?」
「死ね」
朝からこんなに暴言を吐いたのは久しぶりかもしれない。