「やったー!
また、私の勝ちだ!」

「ひかり…強過ぎだよ。」

「もう一回やろうよ!」

「……良いよ。
どうせ、またひかりの勝ちだろうけど…」

雅樹君は、そう言って苦笑いを浮かべた。



二人で外をうろうろしていたら、いつ誰に見られるかわからない。
一度、シュウの友達らしき人に見られた気がするんだけど、もしかしたら違う人だったかもしれない。
その後もシュウの態度は全然変わらなかったから。
だけど、それ以来、私はちょっと怖くなってしまって、それからはほとんど雅樹君の部屋で会うようになった。
雅樹君の家は、うちとは全然違う8畳程のワンルームマンションで、エレベーターもなければ、オートロックでもない。
ベッドがわりと大きいから、そのせいで部屋は酷く窮屈な感じがした。
私が、雅樹君の家に行こうって言い出したんだけど、家に着いたら、そんなこと言ったら誤解されるよって雅樹君に言われた。
私はとにかく二人でいる所をあまり見られたくなかっただけだったから、雅樹君の言葉の意味もわからなくて…
雅樹君に説明されてようやくその意味がわかって、私は赤面した。
確かに言われてみればその通りかもしれない。
それに、私達がいつもゲームをするのは、ベッドに腰掛けてだから、ヤバイシチュエーションではある。
そうでなくても、私は雅樹君に告白されて以来、雅樹君を恋愛対象としてみるようになってしまって、そのことでシュウに後ろめたい気持ちがどんどん大きくなっていってて…
なのに、そんな最中、私は雅樹君とチューをしてしまった。
雅樹君は、いつも私の可愛いとか好きだとかそんなことばっかり言ってくれるし、なんせ狭い部屋だから二人の距離も自然に近くて、それでつい…
そうなると、雅樹君を好きな気持ちはさらに高まり、何度かそれ以上の所まで進んでしまいそうになったことはあったけど、その一線を超えてしまうのはやっぱり怖いからなんとか押し留めた。
いくら雅樹君に心が動いてても、私はシュウのことが嫌いになったわけじゃない。
シュウのことを好きな気持ちも変わってないし、今まで、シュウのおかげでどれだけ救われたかわからない。
そういうことはやっぱりとても大切なことで…だから、簡単にはシュウを裏切られないっていうか、そのことがバレて揉め事になるのもいやだし、でも、雅樹君に対しては好きな気持ちが高まってるし、自分で自分の気持ちが整理しきれなくて本当に困ってる状態なんだ。