「それで…そいつは、ひかりと一緒だった男はどんな奴なんだ?
詳しいことを教えてくれよ!」

「シュウ…さっきも言ったが、何も…」

「良いから教えてくれよ!」

「あ……あぁ……」

アキラとタカはそいつのことを教えてくれた。
……とはいっても、名前や職業や住んでる所などは知らないとのことだった。
アキラ達が知ってるのは、そいつの容姿についてのことだけ。
話を聞く限り、本当にどこにでもいそうなごく普通の男だった。
特徴らしい特徴もないようだ。



(なぜ、ひかりはそんな奴と……)



どうしても、理解出来なかった。
俺のプライドも傷付いた。
相手が俺から見てもすごい奴ならともかく、そんなつまらない奴だなんて…



「シュウ、俺達が見た時、二人は花を選んでた。
デートっていうよりも、ひかりちゃんがたまたまそいつの買い物の相談に乗ってやってただけかもしれないぜ。」

「でも、そいつといるとこ、二回見たんだよな!」

「ば、ばかっ!」

タカは、慌ててアキラの頭を叩いた。



一度だけならともかく、二度も一緒にいたとなると、たまたま出会ったとは思えない。
ひかりが一人で出歩くようになってどのくらいになるだろう…
せいぜい二ヶ月…いや、もう少しか…
そのくらいの時間があれば、相手のことを好きになることは当然考えられる。



(ひかり……)



「……俺、今日はこれで帰るわ。」

「シュウ…本当に気にすんなよ!
ひかりちゃんが、おまえ以外の男を好きになることなんてないから、な!」

「……タカ、ありがとう。」



タカにこんなに気を遣わせてることが情け無かった。
きっと、今の俺は、自分で思ってるよりもずっと憔悴しきって見えてるんだろう。
現実に、俺にはもう空元気さえ残ってはいなかった。