「シュウ…本当にどうしたんだよ。
おまえらしくない飲み方だな。」

「うるせぇ。
俺がどんな飲み方しようと、俺の勝手だろ!」

苛立った俺は、つい声の調子がきつくなり、友人達が一斉に俺をみつめた。



「……すまなかった。
ちょっと、いろいろあってな…」

「いろいろって…
もしかして、ひかりちゃんのことか?」

「ひかりのって…
アキラ、何か知ってんのか?」

「えっ!?」

「な、なんでもないよな?な、アキラ?」

アキラの隣に座っていたタカが、不自然にアキラの肩を叩いた。



「あ、あぁ、そうそう。
なんでもない。
悪いな、シュウ…変なこと言っちゃって。」

アキラはそう言って、どこか無理した笑顔を見せた。



「なんでもないじゃないだろ!
知ってることがあるならはっきり言えよ!」



それは、さっきよりも大きな声だった。
奴らはなにかを知っている。
知ってて、それを俺に隠していることは明らかだ。



「……アキラ…頼む……
俺、ひかりのこと、知りたいんだ…
心配なんだ、ひかりのことが…」



アキラはすぐには答えず、タカに救いを求めるような視線を向けた。
タカはそれに少し困ったような顔で頷いた。



「……実はな、シュウ…
俺達、街で何度かひかりちゃんをみかけたんだよ。
……男と一緒だった。」

「男と…!?」

予想はついていたが、やはりはっきりと現実を突き付けられると、それはかなりショックなことだった。



「あ、でも、特別なにかありそうって感じでもないんだぜ。
そいつ、ものすごく普通の奴だし、おまえとは比べものにならない。」

「うん。
なんていうか…仲の良い友達って感じだな。
ただ…ひかりちゃんは今までおまえにべったりだっただろう?
それでちょっと気になったってだけのことなんだ。」

「ひかりが男と……」

「だから……男と一緒だったっていっても、特に深い関係とかそんなんじゃないって!
俺がそういうことに鋭いこと知ってるだろ?
あの二人に肉体関係はない!
断言する!
そんな心配することないって。」



俺に耳には、タカの言葉はもはや入らなかった。
友達だろうがなんだろうがひかりが俺以外の男と会ってて…
しかも、ひかりが嘘を吐いていたということが俺にはどうにもたまらなかった。