「可愛いねぇ…」

私はプランターの花に目を細めた。



「なんだか、この花、ひかりみたいじゃない?」

「えっ!?」

「……バラや百合みたいな華やかさはないけど、可憐で健気で…なんだか守ってあげたいような気持ちになるんだよね。」

「も、もう、雅樹君ったら、何言ってんのよ!」



先日、雅樹君と植えた種の中からいくつかに花が咲いて、そのうちの薄ピンクの花のことを雅樹君は私みたいだなんて言ってくれた。
しかも、守ってあげたいなんて言われたら……きゅんとしてしまうじゃないか~~!



雅樹君と過ごす時間は本当に穏やかで、心の底からリラックス出来る。
それで私は気付いたというのか、あらためて感じたのだけど…
シュウといる時はやっぱり私は自分がシュウに釣り合わないって引け目を感じてるんだな。
だから、知らず知らずのうちに気を張ってるようなところがあったんだと思う。
ただでさえ、私は自分に自信を持ってない。
見た目だってこんなだし、他の人と比べて優れてる所なんて、私には昔から何一つなかった。
学生時代は、今よりずっと太ってたから、コンプレックスはもっと大きかった。
周りの子とは感覚がずれてたから、地味に苛められたっていうのか…
特に酷い何かをされたわけではないからあんなのはいじめには入らないのかもしれないけど、それでも、聞こえよがしにオタクの悪口を言われたことは何度かあったし、仲間はずれもしょっちゅうだった。
でも、私はそんな事全然気にもしてないふりや、一人が好きなふりをしたからか、それ以上エスカレートすることはなかったけど…
それでも、やっぱりだんだんと学校には行きたくなくなって…そのうち家族と話すのもいやになって、気がついたら漫画やゲームをすることだけが楽しみになってた。
だから、私の世界はとっても狭い。
ファッションのことも芸能人のこともおいしいお店のことも男の子のことも、周りの子が普通に知ってることを私は知らずに生きて来た。
それで良いと思ってたけど、シュウと出会って、そうとも言ってられなくなった。
知らない事が恥ずかしい…だからそれがまたコンプレックスになってしまう。
シュウのことが大好きだから、シュウに相応しい相手になりたいって気持ちは大きいのに、どうあがいてもそうなれない。
そのことが自分でももどかしくて辛いから、シュウに優しくされても心の底から喜べない…