「こりゃ、絶品じゃな!」

「確かに……」

白いケーキの正体は思った通りホワイトチョコレートだった。
だけど、ありきたりなホワイトチョコとは一味違う。
そもそもホワイトチョコというものは甘さとコクが売りである反面、それを苦手とする者もけっこう多い。
そのせいか、控えめな使い方をされることも多いのだけど、このケーキはホワイトチョコの魅力をこれでもかというくらい前面に押し出している。
口に入れた瞬間のとろけるようなミルキー感、スポンジも卵や生クリームがふんだんに使われていてとにかく濃厚だ。
きっとカロリーは相当なもんだと思うけど、カロリーを気にして甘いものが食べられるか!と常々考えてる俺にとっては神の如きケーキだった。


(ハヤト君って…思ったよりすごい奴かもしれない…!)

俺の中でハヤト君への印象が一段階上がったような気がした。



(俺もこんなの作ってみたいなぁ…)

ケーキはこんなに大好きなのに、自分ではそうたいしたものは作れない。
レシピを見ながら、誰にでも出来るようなものしか作ったことがないことが、俺はどうにも悔しく思えて来た。



「どうしたんじゃ、シュウ…
ぼーっとして。」

「いや、別に……それにしても、このケーキ、本当にうまいよな。」

「こんなうまいケーキが食べられるなんて、ある意味、小さな奇蹟みたいなもんじゃな。
ありがたや、ありがたや。」

そう言って、ケーキを拝む賢者のじいさんを見ていると、俺は不意に以前からじいさんに聞いてみたかったある疑問を思い出した。