(ど、どういうことなのかしら?
美幸さんだけじゃなくて、シュウさんまでこっちの世界に送られた!?)



「あっっ!」



突然、画面から今打った文字が消えた。



(ど、どうしたのかしら…
い、一体、何が……)



パソコンの電源が落ちたわけでもないのに、画面の文章だけが跡形もなく消えていた。
でも、私の記憶の中にはある。
……幸いなことに、青木さんのことも全く忘れてはいない。



(良かった…!
何の影響もなかったんだわ。
でも、何も影響がないってことは……もしかしたら、美幸さんもあのままってことだったのかしら…
ってことは、つまり…私が書いたものは私のただの妄想だったの…?)



何事もなかったことへの安堵と、何も変わってさなそうなことへの落胆…
相反する二つの感情を、私は同時に感じていた。
とりあえず、さっき消えた文章を思い出しながら再度打ちこみ、それをメモリに移した。



(青木さんはがっかりされるだろうな…きっとうまくいくと思ったのに…
……もしかしたら、私が何か失敗したのかしら…?)



具体的に思い当たることはなかったけれど、罪悪感のようなものが私をじんわりと押さえ付けて来た。
青木さんが帰って来られたら、とにかく心から謝ろう。
そして、美幸さんに連絡をとれる新たな方法を考えなくては…



私は、パソコンの前を離れ、お茶を煎れた。
青木さんが戻ってこられるまでには、それなりの時間がかかると思う。
亜理紗さんとの問題が穏便に解決出来るかどうかの瀬戸際だもの。



(そうだ…今のうちに何か食べておこうかな…)

私は冷凍庫の冷凍食品に手を伸ばした。