シュウ、おまえ、本気でそんなことを…」

「あぁ、本気だ。
俺はこの三日間じっくりと考えた。
考えて…考えて…考え抜いて、そしてようやく出した結果だ。
迷いなんてない。」

「しかし、シュウ……
三日で決められるような問題ではなかろう?
どうじゃ、もう一度だけ…」

「じいさん…俺はもう決めたんだ。」



これ以上考える時間はほしくなかった。
また考えたら…今度は今の気持ちが揺らぐかもしれない。
自分のことを優先してしまうかもしれない。
そうはなりたくなかったから、すべてをあっという間に終わらせてしまいたかった。



「……そうか、よくわかった。」

「それで…門を動かすにはどんな風にすりゃあ良いんだ?」

「なぁに、簡単なことじゃ。
ひかりとおまえさんが門の反対側に立って、門に触れれば良い。
そうすればすぐに記憶は消え…そして、門にエネルギーが注入される。」

「……そんな簡単なことだったのか…」

呆気ないもんだ。
たったそれだけでひかりの問題は解決出来たのか。
そうとは知らず、これほど長い間、ひかりをこの世界に居続けさせてしまったことに、俺の心は痛んだ。



「シュウ…ひかりにも心の準備ってもんがいるかもしれないし…どうじゃ?
今夜、お別れパーティでもしてから…」

俺はきっぱりと首を振った。



「駄目だ!
さぁ、すぐにひかりを呼んで来てくれ。
……もちろん理由は言わずにな。
俺は先に門の所に行って待ってる。」

「……わかった。」

賢者は沈んだ表情でとぼとぼと歩き始めた。
ひかりだけじゃなく、賢者にとってもきっと辛い事だったと思う。
ひかりとは仲良くしてたから、本当ならきっちりと話をして心の整理をしてから別れさせてやりたかった…
でも、そんな時間が出来たら俺はまた決心を鈍らせてしまうかもしれない。だから……



(じいさん、すまない…)



身勝手な行動を心の中で賢者に詫びながら、俺は門のある場所へ向かった。