「シュウーーー!」



しばらく隼人君と酒を酌み交わしていると、俺の名を呼ぶ賢者とタカが部屋に入って来た。
賢者はとても心配そうな様子で、タカは息も荒く汗びっしょりになっている。



「大変なことがあったんじゃな…
大方の話はタカから聞いた。」

「シュウ、勝手なことしてごめんな。
だけど……おまえに何かあったら、俺……
それに、こういう時は俺達よりもじいちゃんの方が頼りになるんじゃないかって思って…」

「……それで、じいさんを呼びに行ってくれたのか…」

「タカはわしをおぶってここまで走ってくれたんじゃぞ。」

「おぶって……」



だから、タカはこんなに汗をかいてたのか…
タカとは昔から仲が良くて、今までにも何かと助けられたことはあったけど、今日ほどありがたいと感じたことはない。



「タカ…ありがとうな。
じいさんもわざわざすまなかったな。
……なぁ、二人も一緒に飲もうぜ。
あ、この酒、おまえが持って来たのか?
もうほとんどなくなった…
でも、他にもいろいろあるから…
あ、じいさんは酒はあんまり飲めないんだよな?」

「……シュウよ。
おまえの気持ちもわからんでもないが、今は酒を飲んでる場合じゃなかろう?
ひかりを……」

「じいさん……」

俺の声に、賢者は言葉を停めた。



「……もう良いんだ。」

「何を言うとる。
おまえさんはひかりのことがまだ好きなんじゃろう?」

「……あぁ、好きだ……好きだとも……
その気持ちはきっとこれからだって変わらない…
でも、一緒にいるのはもう無理だ。
ひかりが愛してるのは俺じゃないんだから。
……俺はふられたんだ…完全に。
だけど……俺がひかりのことを一方的に好きでいることは勝手だろ?
……それだけで良いんだ。
ひかりには幸せになってほしいから…だから、俺はそれだけで…」



それは本心だった。
無理をしてたのは事実だけれど、嘘偽りのない俺の本心だ。