「タカ、俺なら大丈夫だって……」

「いいから、いいから。」

タカは、家に帰りたくないと言う俺を無理に家に送り届けた。



「あ!シュウ!
どこ行ってたのよ!
タカも一緒だったんだぁ…
……あれ?…ひかりさんは?」

リビングにはここあちゃんと隼人君がいて、のんびりと朝食を食べていた。
ここあちゃんは、ひかりがいないことを不審がり、きょろきょろと俺達の後ろをのぞきこんだ。



「隼人さん……すみませんが、少しの間、シュウのことをお願いします。」

タカはここあちゃんには目もくれず、何を思ったのか隼人君にそんなことを頼んだ。



「お願いって、何?
シュウがどうかしたの?」

タカは、俺のことをえらく心配してる様子だった。
そんなにも俺は落ちこんで見えるのか…
実際には、落ちこんでいるというよりも、それを通り越して人生がもうどうでも良くなった…
そんな気分だった。



「シュウ、すぐに戻るからな。」

「タカ、何を…」

タカは、それには何も答えず、ただ俺の手を固く握り締め、少し無理した笑みを浮かべて部屋を出て行った。



「なに、なに?
シュウ、何かあったの?
あ、そうそう、昨夜はどうだった?
ひかりさんとはうまく行った?
私、昨夜はいつもりはりきって大きな声を出したのよ。
隼人君がひいちゃうくらい、頑張ったんだから~!」

「ここ…ちょっと、俺とシュウさんを二人にしてくれないか?」

「えぇ~っ?な~んで~?」

不満げな声を漏らしたここあちゃんに、隼人君が睨みを効かせた。
それは、今まで見た事のない、とても厳しい視線だった。




「……わ、わかったわよ~」

ここあちゃんは、まだ食べきってない料理の皿とコーヒーを両手に持って、おとなしくリビングを出て行った。