「……そうか…わかった…」

何がどうわかったのか、わからない。
シュウは、それだけ言って私に冷たく背を向けた。



「お、おいっ!シュウ!」

タカさんは、私の方に何か言いたそうな顔を向けたけど、そのまますぐにシュウの後を追って出て行った。



「ひかり、どうなってるんだよ!?
なんで、シュウさんがここに…」

「そんなこと…私だってわからないよ!」

「そ、それに、あんなこと言って…
大丈夫なの?」

「大丈夫なわけないじゃない!
私は……シュウと別れることを決めたから…
だからあんなことを…
雅樹君だって言ったじゃない!
あんな奴とは別れろって!
あれは嘘だったの!?」

「う、嘘じゃないよ。
ひかりがシュウさんと別れて僕の所に来てくれたらどんなに良いだろうって思ったよ。
……でも、心の底ではそんなこと無理だって思ってたんだ…」

「無理なんかじゃないよ!
私は……もうシュウの所には帰れない。
あ…だから、雅樹君とつきあうってわけじゃないよ。
私……つくづくわかったんだ。
私はきっとどんなに頑張ったってシュウやここあちゃんみたいに恋愛慣れ出来ない。
心と身体を切り離して考えられるタイプじゃないんだ。
元々二人と私は全然違うタイプなんだよ。
それに見た目だって…私とシュウじゃ釣り合わない。
何もかも…設定自体が無理があり過ぎたんだよ…
そんなに無理があったんじゃ、私もシュウもきっとこの先も幸せにはなれないように思うんだ。
でも……雅樹君とは無理せずにつきあえる。
きっと、幸せってこういうものじゃないかなって、やっとわかったんだ。
私は、シュウといるよりも雅樹君といる方が幸せなんだって、やっとわかったんだ…」

「ひかり…ほ、本当に良いの?
本当にこんな名前さえなかったキャラの僕で良いの?」

私は黙って頷いた。
今、話した事が私の本当の気持ちなのか、それともそう思いこもうとしてたのか、自分でもよくわからなかった。



でも、無理してるのは事実だ。
だって……心がこんなに痛いんだもの。
今まで話しただけで精一杯…
私はもうこれ以上何も話せなかった。
大好きだったシュウと、もう終わってしまったんだという事実を考えると…
もうあんな風に一緒にいられないと思うと、私の心は粉々に砕かれてしまったような気がした。