「シュウ、どうか…あっっ!」



シュウの後から着いて来たタカさんが、あわてて私から目を逸らした。
それもそのはず、私はベッドの上にいて、毛布で隠してるとはいえ、何も着てないことは簡単に推測出来るだろうから。



まるで、神様に私の心の中を読まれたかのようだった。
でも…シュウとわかれるとは決めたけど、いくらなんでもこんな急にだなんて…
それも、こんな最悪のシチュエーションで…

シュウは、白くなった唇を噛み締めて、何も言わずに私をみつめ…いや、睨んでいた。
それも、当たり前のこと。
私が今いるのは雅樹君の部屋で、雅樹君のベッドの中なんだもの…



(どうしよう…)



この状況をどうしようもないのはわかってる。
取り繕える方法なんてない。
私もそんなことをするつもりはない。
だって……シュウと別れることをもうはっきりと決めたんだもの…
だけど…この状況はなんとかしなくちゃいけない…
出来るだけさっぱりと私のことなんて忘れてほしいから…




「……あ~あ、ついにバレちゃったか…」



私のその一言に、シュウの眉間に深い皺が刻まれた。



「雅樹君…いないの?」

「え?あ…あぁ、いるよ…」

シュウとタカさんの間を擦りぬけて、雅樹君が私の傍にやって来た。
雅樹君もシュウが来たことにかなり驚いたようで、その顔はすっかり青ざめている。



「シュウ…ごめん。
私…実はこの雅樹君とずっとつきあってたの…もう何ヶ月にもなるかな…」

「……嘘だろ…」

タカさんが小声でそう囁いたのが聞こえた。



「私…まさかこんなに長い間バレないなんて思ってなかった…
あんなに毎日出かけてたんだもん。
それに…私、雅樹君とは身体の相性がすごく良くて…」

「セフレってことか…」

今まで黙ってたシュウがやっと口を開いた。
それはとても低い声でどこか震えてて…シュウが怒りを我慢してることがすごくよくわかった。



「私、そんな器用なこと出来ないよ。
やっぱり好きって気持ちが強いから、身体の方も感じるんだと思う。
さっき、ここあちゃんのアノ声聞いてたら、どうにも我慢出来なくなって……
雅樹君の所に来ちゃったんだ…」

私はそう言って、雅樹君の手に自分の手を重ね、雅樹君をじっとみつめた。
雅樹くんは、そんな私の行動に、シュウの方をちらちらと見て、心配そうな顔をしてた。