「俺…ひかりさんとは直接しゃべったこともないし、何度か見かけただけだけど…
さっき、彼女の家の近くでひかりさんを見たような気がするんだ。
でも、まさか違うだろうって思ってたんだけど…さっきタカからメールが来てひかりさんを探してるってことだったから…」

「どこだ!どこでひかりを見たんだ!」

「シュウ、本当に俺の見間違いかもしれないぜ。
だって、暗かったし、その子はなんだかめちゃめちゃに泣いてて…尋常じゃないって感じで…」

間違いない。
きっとそれはひかりだ。
俺はそう直感した。



「幹也、そこまで連れてってくれ!
間違いでも何でも良い!
確認したいんだ!」







「ここ……ひかりさんらしき女の子がここに飛びこんで、それからすぐにあの部屋の明かりがついたから、多分、あそこだと思う。」

それは意外にも店でもなんでもない小さなコーポの一室だった。
ひかりに友達はいないはずなのに、なぜ…



俺はいやな胸騒ぎを感じながら、その部屋のチャイムを鳴らした。
しばらく待っても誰も出てこない…
俺は再び、チャイムを鳴らすと少し経って中から物音が聞こえた。
出て来たのは若い男。
俺の顔を見た瞬間、顔色を変えた。
汗にまみれた赤い顔がみるみるうちに青ざめていく。
髪は酷く乱れ、首筋にはキスマークがあった。
彼がすぐに出て来れなかった事情は、その様子からすぐにわかった。




「あの……実は……」

話しかけたその時、俺は気付いてしまった。
玄関にあった見慣れた靴に…



「あ、待って!」



男が制止するのも構わず俺はずかずかと部屋の中に押し入った。
玄関から続く小さなキッチンの奥の扉を開くとそこにはベッドがあって…



「……シュウ…」



毛布で身体を隠したひかりが、そこにいた。