「ひかり、どうしたの?
大丈夫?」



帰りたい…!
今すぐにでも元の世界に帰りたいと思った。
でも……それが無理なことは私にもよくわかってる。
私はもうこの世界で暮らしていくしかないんだ。
でも…シュウからは離れなきゃ…
もう、これ以上、シュウを苦しめちゃいけない!

だけど…シュウと別れて、私、生きていけるだろうか?
シュウのこと、本当に忘れられる?



「ひかり…」

私を抱き締めてくれた雅樹君の胸はとても温かくて…



「……雅樹君…
雅樹君は言ってくれたよね?
私のことは、設定じゃなくて…ただ素直に好きだって。」

「そうだよ。
僕みたいなキャラには何の設定もないから、ひかりを好きになったのは100%僕自身の気持ちだよ。」

「い…今でもその気持ちは変わってない?
私のこと、好き?」

「もちろんだよ。
僕はずっとひかりを愛してる。」

「本当!?本当に…ずっと私を愛してくれる?」

「約束するよ!
僕、絶対にひかりをずっと愛するよ!大切にする!
だから、お願い…シュウさんとは別れて…
前にも言ったけど…僕、もういやなんだ。
これ以上、ひかりが傷付くのを見たくないんだ。
シュウさんとここあちゃんの仲はきっとこれからももっとエスカレートしていくと思う。
残念だけど…シュウさんがひかりに別れを切り出すのは時間の問題だと思うんだ…」

残酷な言葉だった…
でも、私もそう思う。
私は、シュウに「汚い」なんて言ってしまったんだもの。
プライドの高いシュウが怒らないはずはない。
もうおしまい…
そうじゃなくても、私と一緒にいたんじゃシュウに悪いから別れなきゃならないんだ。
でも……どうせ別れるなら、シュウから別れを言われたくない。
せめて、私の方からさよならを言いたい。



(そして…私は雅樹君と生きていこう…
この世界の住人として精一杯生きていこう…)



「雅樹君……」

私は、雅樹君の首に腕をまわして唇を重ねた。
こんなこと、いつもなら恥ずかしくてなかなか出来ないけど…
すべてを忘れてしまいたかったから。
辛い事を全部忘れたくて…私は雅樹君に身を任せた。