「許せない!
シュウさんも、ここあちゃんも酷い!
こんなにひかりを傷付けて…やることが酷過ぎるよ!」



私は雅樹君の胸で思いっきり泣いた後、その涙の理由をすべて話した。
気が付けば、暗かった窓の外ももう明るくなっていた。



「ひかり…もうわかっただろう?
いつまでこんなことを続けるつもり?
……こんなことを言うのはきついかもしれないけど…シュウさんとひかりは最初から合うタイプじゃなかったんだよ。
僕にも詳しいことはわからないけど、今までは設定でなんとかなってたけど、その設定が崩れかかってるんじゃないかな?
ひかりとシュウさんは元々住む世界が違う。
いつの間にかその歪みが大きくなって、そのせいで設定通りにいかなくなってきたってことなんじゃないかな?」

雅樹君のその言葉は、私にハンマーで頭を殴られたような衝撃を与えた。



(そっか……そうだったんだ……)



もしかしたら、雅樹君の言う通りなのかもしれない。
あの流れ星の奇蹟でシュウは私の世界にやってきた。
そこではきっと私の設定通りだったんだろうけど、私がそれを無理やり変えて、シュウを元の世界に戻しただけじゃなく私までこっちに着いて来て…
私にも仕組みはよくわからない。
だけど、雅樹君の言うように捻じ曲げられた何かが少しずつ歪みを作っていて、それで、元の設定が崩れだしてるのかもしれない。
設定がなかったら、私みたいなのがシュウに愛されるはずはないんだもの。
出会うことすらないかもしれない。
あのまま私がシュウに会わずにごく普通に暮らしてたら……私だって結婚はしてたかもしれないけど結婚相手はきっと雅樹君みたいなごく普通の人。
シュウみたいな人では決してないはず。



(最初っから、私とシュウが合う筈ないのに、無理させてただけなんだ…)



あの時…あの赤い流れ星に、馬鹿な願いをかけてシュウを私の世界に呼び出してしまったことを私はすごく悔やんだ。
シュウに辛い想いをさせたことをあんなに申し訳なく思ったのに、それなのに、また同じようなことをしてしまった。



(シュウだけをこっちに返してあげれば良かったんだね…)



そしたら、シュウはきっともっと楽しく幸せに暮らせたんだ…
……私がずっとシュウを苦しめてたんだ…



そう思うと、私はシュウに申し訳なくて…胸が押し潰されそうになってしまった。