こっそりとここあちゃんの様子をうかがっていた私の心臓が、急に速度を増した。
だって……ここあちゃんの薬指には、私のと同じハートのリングが光ってたんだもん。
私のはピンクでここあちゃんは真っ赤。



(どういうこと!?
シュウは…まさか、ここあちゃんにも同じものを贈ったの!)



眩暈がして身体ががくがくと震えた。




(落ちつかなくちゃ…落ちつくんだ、ひかり。
……いくら二人が浮気してるって言っても、こんな公の場所でそんなことする!?
隼人君はなにも言わないとしても、シュウはいくらなんでもそこまで大胆なことをするとは思えない。
……そうだよ。うん、シュウは絶対そんなことしないし、だいたいハート型のリングなんてどこにでも売ってるよ。
石は違うんだし、偶然だよ、きっと…)

私は自分に言い聞かせるように心の中で何度もそう考えた。



(そうそう、この話はこれでおしまいっと。
深く考えることなんて、ないない!)

私は無理矢理にいやな考えを切り捨てた。




「あ…ひかり。
言うの忘れてたけど、今夜、ここあちゃんと隼人君、泊まるから…」

「えっ!?そ、そうなの?」

「ひかりさん、よろしくねぇ~」

「お世話になります。」



驚く私に、ここあちゃんはにっこり微笑み、隼人君は深々と頭を下げた。



「あ、は…はい。」



そうは言ったものの、心の中では納得してるわけもなく…
そりゃあ、今日のパーティではいろいろとお世話になったのはわかってるよ。
でも、なんで泊まるわけ?
わざわざ泊まる必要なんてないじゃない。
今日は私とシュウの大切な記念日なのに…

苛々した私は目の前にあったカクテルを飲み干した。