「さてと…じゃあ、次はひかりの番だな!」

「え?私の…?って、何が?」

シュウは、買ったばかりのスーツを来たままで、私の手を引いて店を出た。
行き交う人達が、皆、シュウのことを見てる。
女の人だけじゃなくて男の人までが…シュウはそれ程格好良い。



「ここが良いな。」

「えっ!?ここ?」



そこは一度も入ったことがない、いかにも高級なブティックだった。




「この子に似合う服が欲しいんだ。」

「かしこまりました。」

私はそんな高級なお店に入るだけでも気が引けて、店内をきょろきょろしてると、シュウはまるで常連みたいな口調で声をかけた。
すると、ちょっと年配のモデルさんみたいな店員さんが、店の奥からまるで最初から用意いてたようなタイミングで三着のワンピースを持って出て来た。



「ひかり、どれが良い?」

「え…?」

「これなんかお似合いだと思いますけど…」

店員さんがすすめてくれたのは、薄ピンクの柔らかい生地で作られた女の子っぽいワンピース。
いくらお世辞でも、そんな可愛いの、私には無理だってば…



「とりあえず、全部着てみたら良いな。」

「え…?」



私、さっきから「え…?」しか言ってない。
わけがよくわからないまま、私は試着室に連れて行かれ、一着着てはシュウに見せてを三回繰り返し、シュウもやっぱり店員さんのすすめた薄ピンクのを気に入ったらしく…



「じゃあ、これにします。」

シュウはそう言うと、さっさとレジに向かって行った。


えーーー!マジ?
こんな可愛いのを私に着ろっていうの?
っていうよりも、この服すごく高いんじゃ…


シュウは、そんな私の動揺も知るはずもなく、私はそのワンピースを着たまま、またシュウに手を引かれて店を出た。



「シュウ、何?
次はどこに行くつもり?
っていうか、一体…」

シュウはすぐ傍の美容院を指差した。



「え…?」



私は、美容院に連れて行かれて、椅子に座らせられた。
シュウは、美容師さんに指示をした後、のんびりとソファに座って雑誌を読んでる。



何?
こんな高そうな服を買って、今度は美容院だなんて…
シュウ…一体、何をするつもり…!?