「隣の部屋!?
わぁ~、興奮しちゃう~!
シュウ……私、張り切って大きな声出して、ひかりさんを刺激してあげるね!」

「なんだよ、それ…」

「……おじいちゃんから聞いたわよ。
ひかりさんとは、あっちの方がうまくいってないんだって?」

ここあちゃんは声を潜め、俺の耳元で囁いた。
それにしても、賢者の奴、余計なことを……
俺が賢者に怒りを募らせていると、ここあちゃんが部屋を出て、俺達の寝室の扉を開いた。



「ここが、シュウとひかりさんの愛の巣か~…
う~ん…ここもおしゃれだけど、エロさがないっていうか、ムードがないっていうか…
シュウ、もっと雰囲気作りに頑張らなきゃだめじゃない。
そんなんだから、ひかりさんとうまくいかないのよ。」

「別にそういうわけじゃないんだって。
ただ、ひかりは晩熟だからそういうことがあんまり好きじゃないだけなんだ。」

「……わぁ~…シュウの言葉とは思えない!
シュウだったら、無理矢理にでも躾けるのかと思ってた。」

そう言いながら、ここあちゃんはカーテンを開け、外の景色を物珍しそうに眺めていた。



「そんなことしないさ。
ひかりは俺にとって大切な女だから、無理強いはしたくないだけ。
ひかりは自分の人生を投げ捨てて、こっちの世界に来てくれた。
それって、すごいことだと思うんだ。
……だから、ひかりが自然に俺のことを受け入れてくれるまで、いつまでだって俺は待つつもりなんだ。」

「ふ~ん…
でも、シュウは我慢出来るの?
……もしかしてどこかでつまみ食いとかしてるんじゃないの?」

ここあちゃんは、意味ありげな笑みを浮かべてそう訊ねた。



「ないない!
俺、こう見えてけっこう硬派なんだから!」

「嘘ばっかり~!
シュウ、無理しすぎだってば!
あんまりためこむといつか爆発しちゃうよ。
そうならないためにも、パーティの日、私がうまくやってあげるから頑張るんだぞ!」

「ここあちゃん……」

盛りあがるここあちゃんに、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。