「ここがシュウのお家?!すっごーーーい!」

ここあちゃんは、マンションのてっぺんでも見てるのか、顔を上向け感動したように声を上げた。



「そう…?
たいしたことないよ。
それより、ここあちゃん…賢者は…」

あたりを見渡すと、肩で息をする賢者の姿が見えた。



「ここあちゃん…わしを置いて行くでない…」

息を切らせた賢者が、小さな声を漏らした。



「あ、ごっめーん!
おじいちゃんのこと、忘れてた。」

「じいさん、すまなかったな。
道案内させて…」

「それは全然良いんじゃ。
束の間とはいえ、ここあちゃんと二人っきりでデート出来たんじゃからな。
……それより、シュウ…ひかりは大丈夫なのか?」

「あぁ、ひかりなら出かけてるから大丈夫だ。
さ、入ってくれよ。」







「わぁ~っ!すご~い!」

玄関に入った時から、ここあちゃんはその言葉を連発してはいちいち驚く。



「わぁ~!なんて広いリビングなんだろう!
うちの三倍…いや、五倍はあるわね。
良いなぁ…
シュウがこんなセレブだったなんて、私、全然知らなかった!」

ここあちゃんはリビングに入っても、座りもせずにあちこちを見て周る。



「何言ってんだよ。
あのお店と家は、隼人君がここあちゃんのために建ててくれたもんなんだろ?
それ以上のものはないじゃないか。」

「ま、それはそうなんだけどね…
でも、やっぱりこういうお家には憧れちゃうな。
ね、シュウ、ここ、何部屋あるの?」

「えっと…七つかな…」

「七部屋も!?
じゃあ、泊まれるね!
今度、隼人君と泊まりに来ても良い?」

「そりゃあ、構わないけど…」

「やったーーー!
あ、それじゃあ、パーティの日にそのまま泊まっちゃおうっと!」

ここあちゃんは、勝手に話を決めてはしゃいでた。



「シュウ、隼人君がケーキを持たせてくれたんじゃ。
お茶でも煎れてくれんかのう。
久し振りに歩いたからちょっと疲れてのう…」

「あ、それなら私がやるわ。
キッチンはあそこね!」

ここあちゃんは、キッチンの方へ歩き出した。
初めての家じゃどこに食器があるのかもわからないだろうと思い、俺もそのままここあちゃんの後を追った。