「遠山…ちょっといいか?」



担任に呼び止められたのは暑さにイライラしていた時だった




先生の声が公立高校の狭い廊下に響く



「はい、何でしょう」


「お前…夏休み暇か?」


夏休みって講習にでると提出したはずなんだけど…


見てないとかか?


「講習がありますが」


「ああ、そうだったな

じゃあ空いてる日でいいんだが大葉の勉強を見てやってくれないか?

あいつこのままじゃ良くなくてな

俺は夏休み部活と講習があって見てやれそうにないんだ


無理にとは言わないが」


大葉、その言葉に思わず反応をしてしまう

別に好きというわけじゃない


ただあの時のことがよみがえるだけだ


でも確か


その時に勉強を見てやるって言った気がする


約束は破るものっていう人もいるけど、守るものでもある


復習にもなるし、見ておくか


「いいですよ」


「本当か!すまんなぁ」


「いえべつに…「俺もやっていいでしょうか?」


え?