リムジンは音もなく発進。
「どうです?高校は」
俺の側近の榛葉(しんば)はニヤニヤしながら言った。
「どうもこうも…上々だな。前の中学の五倍は楽しい」
「全く…驚きましたよ。内部進学せずに公立高校に進学なさるなんて」
「俺がFSCの跡取りだっていうだけで寄ってくる奴等がウザかったんだよ」
俺はため息をついて横になる。
「まあ、若様のお気持ち、お察しいたします」
榛葉はそう言いながらタバコを吸いはじめる。
「車内で吸うな」
「窓を開けているので車内にはなりませんよ」
「アホか。とにかく吸うな」
「この榛葉、タバコを吸わなくては交通事故を起こしかねません」