「家まで送ってやろうか?」
練習後、深川がアタシに聞いてきた。
確かに外は暗い。
気を利かせて言ってくれたんだろう。
「大丈夫。帰りにノートを買って行きたいから」
「んなもん購買で買えよ」
「売り切れだった」
「珍しっ。マジか。お前ついてないな」
アタシは笑いながら校門まで歩く。
「じゃあ、とにかく気をつけろよ」
「なんか…深川が優しいなんて気持ち悪い」
「失礼だなっ、オイ」
アタシを見下ろしながら深川は笑った。
「とにかく、チビは襲われても反撃出来ないんだから気をつけろよ」
「分かってるよ。じゃあ、ばいばい」
アタシは駅に向かって歩き始めた。
