「……間に合わなかった」 東田は呆然と気絶しているヤンキーたちを見る。 ぐったりと意識のない昔の番長の顔には涙の後がある。 川本が手首の縄をほどいてやっても意識は戻らない。 「最悪の事態は防げたんじゃねぇか。萌華は幸い怪我だけ。抱かれてねぇよ」 川本が言うと東田は頷いて萌華を抱き上げた。 …驚くほど軽い。 華奢でパンチなんか出来なそうな腕はアザだらけ。 「とにかく、病院?」 川本が萌華のと思われるスマホを手に取る。