『山谷 詩穂』


俺は慌てて電話に出る。



『深川君、萌華が、萌華が、どうし、ようっ』


…山谷は泣いていた。


「どうしたっ?何があったんだよ山谷!」



『ごめんなさい。本当にごめんなさい。』



「分かったから!萌華はどうしたんだよっ」



『恐い人に囲まれて、私、逃げちゃった…。萌華を守ってあげなきゃいけないのに』


山谷はそこでさらに泣き出しなぐさめる太一の声が聞こえた。


俺は電話を切り小百合を睨む。


「萌華に何…してんだよっ」