計算づけのヒロインが愛した正義のヒーロー


飲み屋の暗めの廊下を

ただ歩いていただけの私の後ろにその人がいて、


「まだ自己紹介していないと思うけど、」


「“誠人”さんですよね。聞きました」


「…怒ってる?」

「怒ってませんよ!全然全く」


「…人の顔も見ないで言われてもな…」


相当顔に自信があるのかな、

この男は…。

ため息を聞かれないようにしてから振り向いてみると、


「っな、何でもないよ!」

「そう?」


確かに超絶イケメンなんだけれども、

知り合いだったら話は別だと思う…。