――― 「ただいま」 大学から帰ってみると、 エプロン姿の愛奏がおかえりって 言ってくれた。 「誠人くん、 みてみて私が作ったんだよ」 ダイニングに並べられてる 俺の分の少し焦がした魚とみそ汁と。 「…ほんとだ。 何もできないのに無理して」 「む、無理じゃないし。 女の子ならこれぐらい普通だもん」 赤くそっぽ向いた彼女が 愛おしくてぎゅっと抱きしめてみた。 「…誠人くんは… 私にどきどきしていないの?」 「しないよ」