LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

(人事じゃない…よね…)

 深空は、乱れた呼吸を人混みの中で整える。

 しかし、次第に熱くなった目には涙が溜まり、嗚咽していた。

(自分を優先して赤ちゃんを殺して、罪の意識に一生苛まれるなら… いっそのこと…)

 前を見据える、深空。その瞬間から、何もかもが、スローモーションとなる。

 目の前には、電車の線路…
 耳に入ってくるのは、電車の到着を知らせるアナウンス…
 警笛を鳴らし、間近に迫る、銀色の電車…
 空気の抵抗で、ざわつくホーム…
 深空の足は、ふらふらとしながらホームの白線を越えようとしていた。

(今だ…っ)

 ギュッと目をつぶり、身体を身の重さに任せて、空気の抵抗を受けて揺れるホームから飛び出そうとしたその瞬間ー