LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

 長い診察を終え、会計を済ませた深空は、いつになく重い足取りで、駅前を歩いていた。気丈に振る舞っているつもりの深空も、診察時に医師が口にした言葉で、魂が抜かれてしまったかのように、放心していた。

『中絶するということは、自分の都合で赤ちゃんの命を奪うということなんです。それを決して忘れないでください』

 深空の頭の中で、その言葉がぐるぐると回る。

(…最初から判ってたことなのにね)

 いとも簡単に精神を打ち砕かれてしまったことに、思わず笑ってしまう。

(自分がこんなにも弱い生き物だったなんて…)

 そう思いながら、駅の自動改札を抜けた。

 駅のホームで電車を待っている時、手持ち無沙汰にしていた深空は、携帯を開きいつものSNSにアクセスする。何となく見ていたニューストピックに、目を引くニュースがトップで載っていた。

『女子高生 乳児遺体遺棄で逮捕 トイレで出産か』

 彼女は、黙ってそのニュースをクリックしてみる。

(公園のトイレで産み落として、そのまま見殺しに…か)

 彼女は不意に気付く。胸の鼓動が激しく打ち付けていることに…

 母子手帳すらもなく、検診に行く費用もおろか中絶するお金すらもなく、誰にも相談できないうちにお腹はどんどん大きくなっていって……

 目を伏せ、そのまま逃れるようにネットを切断し、携帯のディスプレイを閉じた。