(優しく微笑む女の人…)

 その時、一瞬にして深空の中のスイッチがオンになる。

 彼女が別れ際に感じた、変な違和感…

 昔では有り得なかった、今の彼の目は、"男の目"だった。

 深空の胸で、何かが渦を巻く。

 昔とは違う、感情

 その"男の目"を狙う、悪魔の彼女……

 拾ったその革の定期入れを握りしめながら、彼女は笑う。退屈していた夕方に射した、新たな光……