(その時、あたしはどう答える…?)

 深空は目を閉じ、考えていた。

 自分の生きる希望を手にするために深雪を産んだ。妊娠が解ったとき、彼女には下ろすなど考える余地はなかった。それは、雄二だって望まなかったはず…。

 自分のために、産んだ。では、生まれてくる命の将来のことを、自分は一度でも考えただろうか?

 それでも、彼女は、生まれてくる赤ん坊のそばにいたかった。離れることはできなかった。

 あの時、この手で、その小さな命を亡くしてしまおうなど、できるはずがなかったのだ。

(あたしは間違ってない。あの子がお腹にいたから、今だってこうして生きていけるんだから…)

 深空は確信するかのようにうなずいた。すると、すーっと霧が晴れたかのように、すっきりとした目をして…