「彼の姪のひかりちゃんだけど… DNA鑑定の結果、ちゃんと兄、敬吾のこどもだったわ」


 翠はコーヒーカップに口を付け、口の中を潤した。

「え… だって、DNA鑑定はしないって…」

「敬吾はそのつもりだった。でも、ひかりちゃんが昔のお姉さんの日記を読んだみたいで… 敬吾に突っ掛かっていたわ」

「それで…」

 深空が翠の顔を覗き込むように見ると、翠はうなずいた。

「そう。ひかりちゃんの希望で、親子鑑定をしたの。そうしたら、ちゃんと親子だった」

 カチャっと小さな音を立て、カップを置く翠。

「そうだったんですね…」

 深空は小さくため息をついた。すると、翠の眉がピクリと動いた。

「今、安心したんじゃない?」

「え?」

 翠は、フッと笑った。

「だって、顔の表情が少し軽くなったから」
 深空は、彼女の言葉に視線を泳がせた。