「突然押しかけたりしてごめんなさいね」

「いえ…」

 謝る翠に、深空は入れたコーヒーを彼女の前に差し出した。

 ふたりの間に、緊張が走る。お互い目を合わさずに下を向き、話すきっかけを探していた。程なく時が過ぎると、その空気に耐え兼ねた深空が思い切って口を開いた。

「あの… お話、というのは…」

 下を向いていた深空が、恐る恐る翠の顔を見た。すると翠はうなずき、視線をあげた。